2016年10月01日

平成29年度要望事項

1 圏央道・第二東名等の全線開通を見据えた県・市町村道の整備促進

 圏央道の計画延長約300kmのうち、平成28年8月末現在、約241kmが開通済みであるものと存じます。こうした利便性の向上により、有料道路や一般道を問わず、物流車輌の増加が見られるなか、圏央道で発生する渋滞を回避するほか、通行料金を節約することなどもあってか、一般道へ、より多くの物流車輌が流入しているように感じられるところでございます。こうした点から考えますと、圏央道や第二東名の全線開通のあかつきには経済活性化等の面で期待が持たれる半面、一般道への各種車両の流入増加により、渋滞がなお一層、深刻化する可能性が考えられるのではないでしょうか。
 つきましては、今後の高速道路や高規格幹線道路の全線開通を見据えて、県市町村が連携を図りながら県下の道路の交通量の変化を予測しつつ、的確に把握していただくことを通じ、交通量に見合った道路の整備について改めて計画していただくとともに、着実に推進して頂けますよう、お願い致します。
また、物流車輌等、運搬能力が高く生活に密着した物資を運搬する車両の物流コストの削減は県民に広く恩恵があることや一般道への大型車両の流入が減少すれば普通車等の通行の安全性も高められることなどから、物流車輌等の料金を割り引く時間帯を設けていただくことなどにより、交通量を管理・誘導していただくべく、道路会社に料金面での優遇措置等を働きかけていただけますようご検討のほど、お願い致します。

2 通学路等の交通安全対策に向けた組織的・継続的な取り組みについて

 通学路の交通安全対策については、平成24年4月に京都府亀岡市で発生した交通事故を契機に、県下自治体においても緊急合同点検などが行われ、その結果については、県として公表されているものと存じます。
こうした取り組みを経ても、不幸にして通学路での交通事故は発生しており、その後、改善のための取り組みは行われるものの、人命が失われ、取り返しのつかない場合もあることから、交通安全に向けた取り組みは不断に必要であるものと考えられます。
 通常、通学路等の交通安全対策を進める場合には、小学校などがPTAの要望をもとに地元地域の自治会へ了解を得た上で、基礎自治体へ要望し、その後必要に応じて交通管理者や他の道路管理者へ協力を求めるなかで調整した結果、対策の必要性が判断されるという流れが一般的であろうかと思われます。必要な手続きを踏んではいるものの、切迫性や危険性と言った現場での具体的な状況を関係者へ正確に伝え、共有することは段階を経るに従って難しくなっていくのではないかと危惧されます。
 こうしたことから、通学路の交通安全対策を円滑かつ迅速に行う意味で、関係者の合同による点検体制については、緊急的に行うのみならず、不断に行われるべきことなのではないかと考えられます。
つきましては、県を通じ、県下市町村に対して、通学路の交通安全のために関係者が一堂に会する協議会組織等を継続的に運営することを推奨いただくなど、通学路の安全対策を進めるための組織づくりとその運営を支援していただきますよう、お願い致します。

3 自転車通行の増加に伴う道路等の適切な維持管理について

 健康志向や通勤・通学等におけるコスト意識の高揚等もあり、平日や休日などの曜日を問わず、日常的に自転車を利用される方が増えているものと見受けられます。最近では、道路交通法における自転車通行上の扱いが明確化されたことにより、自転車は歩道以外の道路上を通行することが原則であるものと存じます。
 自転車通行の適正化に向け、各自治体では、独自の取り組みとして、自転車通行帯を設けている例も増えているものの、既存の歩道や車道を自転車通行帯に振り替えていることから、車・自転車・歩行者それぞれの通行可能幅は少しずつ減少しているのではないかと考えられます。
 こうしたなか、道路によっては集水桝や舗装の継ぎ目から雑草等が伸長したり、あるいは道路の植栽が生育したりするなど、自転車走行のみならず、歩行上も支障となっている場合も見受けられます。また、自転車のみが通行している場合はともかく、例えば夜間、自転車を運転している際に、雑草等の障害物の存在に気づくのが遅れれば、転倒により後続車両に轢かれるなど、取り返しの付かない事故に繋がる場合もあるものと考えられます。
 つきましては、道路面の維持管理はもとより、自転車通行の可能な道路等につきましては、除草・枝払いや除草剤の散布等を各自治体において徹底して実施していただけますようお願い致します。

4 次世代の建設業を担う技術者の育成と継続学習制度について

 建設業の就業者について、年齢階層別の割合は55歳以上が3割を超える一方、30歳未満は1割程度となっており、高齢化で今後多くの離職者が予想されるなか、次世代への技術継承は大きな課題となっております。
 財政的な制約や過去の好ましくない慣行等に対する批判から、建設業界に対しては好ましいイメージが形成されておらず、また、製造業やサービス業に比較すると休日が少なく社会保険を含む福利厚生等の労働環境については劣る部分があることから、生涯をかけて建設業界に入職しようとする若者は多くなく、求人数に対する求職者数は他の業界に比較して非常に少なくなっております。
国土交通省においては今後、iConstructionを推進されるなか、情報技術の活用も含め、建設業の生産性向上に向けて取り組まれるものと報じられており、こうしたことを契機に業界にまつわるイメージや労働環境などの向上を通じて社会インフラの守り手となる次世代を担う技術者・労働者の入職を促していく必要があるものと考えられます。
 ただ、入職者を得られたとしても、新規採用者等のキャリアコースの構築は各事業者に委ねられており、もとより手薄な既存の職員等が後進の教育訓練に振り向けられる時間は限られているものと想像されます。
こうした中、建設系団体の推進する継続学習制度(CPD:Continuing Professional Development)は技術者等の教育・育成の一つの指標として活用できるものと考えられることから、各事業者や技術者等の継続学習制度への取り組みを入札参加資格や企業評価に取り入れることなどについて、前向きにご検討いただけますようお願い致します。

5 河川堤防の計画的な整備とダム・河川等の定期的な浚渫の実施並びに電力供給の安定化に資するダム施設の機能強化について

 近年頻発する激甚台風や集中豪雨により、日本各地において堤防の越水、洗掘、決壊等により、生命財産を脅かす被害が生じております。今後、こうした事態が人口の密集する地域で発生すれば、その被害は甚大となることが予想されます。
 昨今、公共工事を含む財政政策の縮減傾向の影響もあり、河川における治水工事については、特に上流域にダム施設が整備されている場合、流下量が調節可能となることもあるためか、河川の維持・整備等の優先順位は他の工事に比べ劣後しがちにならざるをえないのではないかと考えられます。また、河川の流下量やダムの貯水量を確保する上で、堆積土砂等の浚渫は定期的に取り組まれるべき事項であると考えられます。
 こうしたことから、河川堤防の計画的な整備に取り組んでいただくとともに、ダム施設の貯水量向上や河川流下量確保のための浚渫等を定期的に実施していただきますようお願い致します。
 なお、ダム施設については、昨今、電力供給の安定化に貢献できる施設としても注目されていることから、発電能力の追加や増強についても合わせてご検討くださいますよう、お願い致します。

6 特定空き家等の解体・活用・売却等の円滑化に資する税制上の配慮について

 特定空き家の増加は保安・衛生・景観等の面で、周囲への環境悪化の影響を及ぼすものであり、初期の段階において空き家の増加を防止する取り組みを行うことが肝要であると考えられます。
 平成27年度の税制改正の大綱により、特定空き家については住宅用地に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置の対象から除外され、空き家所有者に対して適正管理又は解体・活用等が促されるところとなっております。しかしながら、特定空き家や解体後の更地は、課税の特例措置に該当する空き家に比べると管理コストが増大することから、持ち主の生活が圧迫されることなども考えられます。
 こうした点を踏まえ、空き家となった時点で持ち主が売却等の手続きを進めている場合に限り、期限を区切って、一時的に納税すべき額の一部を延期できるようにしていただくほか、健全性の失われた建物を解体し、更地にした場合は、売却手続きが完了するまでの間、納税すべき額の一部を先送りすることができるようにしていただくなど、特定空き家等の解体・活用・売却等が円滑に行われるための税制上の配慮の必要性についてご検討いただきますようお願い致します。

7 年度内公共工事量の平準化の取り組みの多様化について

 公共工事については、予算成立後に入札手続きを行うことが一般的であることから、第1四半期は工事量が減り、年度末に工期末が集中する傾向があります。
 こうした年度内の工事量の偏りを解消することができれば、年間を通じて工事量が安定し、発注者にとっては施工量と中長期的な担い手の確保の両面で好影響をおよぼすものであると同時に、受注者にとっては企業経営の健全化や労働者の処遇改善、稼働率の向上による建設業者の機械保有等の促進などの効果も期待されるところであり、建設産業システムの省力化・効率化・高度化に寄与するものと考えられております。(以上、平成28年4月・国土交通省作成の『地方公共団体における平準化の取組事例〜平準化の先進事例「さしすせそ」〜』の『趣旨・目的』をもとに引用)
 神奈川県や一部の県下自治体においては既に債務負担行為を活用した取り組みや早期執行のための目標設定などに取り組んでいただいていているところでございます。しかしながら、債務負担行為を活用したゼロ県債、ゼロ市債等の工事は年度末の繁忙期に設定され、発注者の担当職員にとっては作業負担が大きいことから、設計等の組みやすい工種が多くなりがちであり、また、景気対策も踏まえた特例的な措置であることが多いことから、数量的には限定的であるものと考えられます。
 以上のように、現行の平準化のための取り組みは限定的とならざるを得ないことから、今後は、『発注量を確保する』ことから、『実質的な工事量を確保する』との考え方についてご配慮いただくなかで、債務負担行為を活用した年度をまたぐ工期の設定や、受注者にとって効率的な施工時期等を選択できるような余裕期間制度の活用なども含め、平準化の取り組みの多様化に向けて、ご検討のほどお願い致します。
posted by ACA at 14:38| 県政等要望